プログラム
F . J. ハイドン ピアノソナタ No.52 変ホ長調 Hob.XVI : 52
1. アレグロ
2. アダージョ
3. フィナーレ・プレスト
4.
J . S. バッハ 無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011
1. プレリュード
2. アルマンド
3. クーラント
4. サラバンド
5. ガヴォットI ・ ガヴォットII ・ ガヴォットI
6.ジーグ
休 憩
F . メンデルスゾーン チェロソナタ No.2 ニ長調 op.58
1. アレグロ アッサイ ヴィヴァーチェ
2. アレグレット スケルツァンド
3. アダージョ アタッカ
4. モルト アレグロ ヴィヴァーチェ
プログラムノート
F . J. ハイドン ピアノソナタ No.52 変ホ長調 Hob.XVI : 52
今日初めの一曲、ハイドンのソナタは、最後のピアノソナタであり、またベートーベン級の規模を持つ最高傑作のひとつでもある。 タイトルに、"テレーズ・ジャンセン嬢に献呈"とあり、ハイドンの2回目のイギリス旅行中の1794年にロンドンで完成させられたものと見られる。 Es-Dur特有の堂々としたアレグロの第1楽章に続き、アダージョは半音高いE-Durで始まる。 単純とも言える程の簡潔明瞭な中に秘められた自由さや、感情の豊かさは見事である。 フィナーレとも題されているプレストの第3楽章は、ハイドンならではの活気に満ちた豪快な人柄がうかがえる。
J . S. バッハ 無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV 1011
バッハはA線をGに下げての調弦による事でも有名な組曲である。プレリュードに続き6つの舞曲から成っている。 そのうちプレリュードは特にフランス序曲の形をとり、荘厳な導入部に続く3拍子の部分は、その規模の大きさからしても特筆に値する。アルマンド、クーラント、精神性の高いサラバンドに続いて、この組曲ではガヴォット1と2が置かれている。 最後にさらりと書かれたジーグで結ばれたこの第5番は、バッハのケーテン時代(1717ー23)に多く生まれた名曲の一環と推定されているが、当時仕えていたレオポルト侯爵が芸術に理解が深く、バッハの偉大な創造力を力強く支持した事は重要である。
F . メンデルスゾーン チェロソナタ No.2 二長調 op. 58
メンデルスゾーンは御存じのように、バッハを再発見しその普及に力を注いだ人物である。 今日と比較しても驚くべき多忙さで短い人生を使い切った、多才な人であっただけに顔も広かった。 このソナタは1842年から43年にかけて作られ、当時ベルリンで知り合ったロシア大使館2等書記官のマテュー・ヴィルホルスキー伯爵に献呈されている。 伯爵のチェロの腕前はメンデルスゾーンがいたく感心したほどで、ヴィルヘルム4世の前での共演、初演の話を持ちかけたが、「自分はチェリストでなく、外交官でベルリンに来ているのだから」と、断られている。 4楽章すべてを通じてメンデルスゾーン特有の、流れ湧き出るメロディーがちりばめられているが、「真夏の夜の夢」やその他のシンフォニーを思わせる箇所も少なくない。 又、彼自身すばらしいピアニストでもあったことがよくうかがえる曲である。
プロフィール
C.ギガー
1967年スイスに生まれる。ヴィンタートゥア音楽院において、チェロをズザンネ・バースラーに師事。
80年、84年共にスイス国内コンクールで優勝。 若くからスイス各地で多くのコンサート活動を行う。その後、ドイツのケルン国立音楽大学にてボリス・ペルガメンコフに師事。 92年、最高点で卒業。同時にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の主席チェロ奏者に就任。 また、メンデルスゾーン国立音楽大学の講師となる。 96年にはライプツィヒ国際室内楽フェステイヴァルを設立し、以来その音楽監督にあたっている。 これまでに、ブロムシュテット指揮によるゲヴァントハウス管弦楽団とのドヴォルジャークチェロ協奏曲、ベートーヴェンの三重協奏曲を演奏し好評を博している。その他、著名な指揮者と共演し、多くの放送録音を行い、ピアニスト小林由佳とのデュオなどもAccent Musicよりリリースされている。
小林由佳
桐朋学園大学卒業。 ロータリー財団奨学金を得て、フランクフルト及びケルン国立音楽大学に留学。 ソロピアノ科、室内楽などを主席で卒業。 以来、ドイツで室内楽を中心に一流演奏家との共演を始め、音楽祭の主催、マスタークラスの指導などに活動している。 2002年ブロムシュテット指揮によるゲヴァントハウスオーケストラとのベートーヴェン三重協奏曲は好評を博した。