プログラム
L.v.Beethoven  
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番 変ホ長調 作品12−3
     1楽章 アレグロ・コン・スピーリト
     2楽章 アダージョ・コン・モルテスプレッシオーネ
     3楽章 ロンド・アレグロ・モルト


ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第6番 イ長調 作品30−1
     1楽章 アレグロ
     2楽章 アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ
     3楽章 アレグレット・コン・ヴァリアツィオーニ


J.Brahms   
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番 ニ短調 作品108
     1楽章 アレグロ
     2楽章 アダージョ
     3楽章 ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント
4楽章 プレスト・アジタート


プログラムノート      
ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番 変ホ長調 作品12-3
Beethoven:Sonate fur Klavier und Violine Nr.3 Es-dur Op.12-3
 ベートーヴェンは、生涯にヴァイオリンとピアノのためのソナタを10曲残している。1797年から翌98年にかけて作曲された第1番から第3番までの3曲のソナタOp.12は、彼のヴァイオリン・ソナタ創作の幕開けとなった作品であり、3曲ともに作曲の師であったアントニオ・サリエリに献呈された。第3番変ホ長調は、3曲中最も壮大な作品であり、ピアノ・パートの難解さは、この分野の作品のなかでも傑出している。

第1楽章 アレグロ・コン・スピーリト ソナタ形式。
ピアノ・パートがヴィルト ゥオーゾ的に華麗なパッセージを奏し、楽章全体を特徴付けていく。
第2楽章 アダージョ・コン・モルテスプレッシオーネ 
3部形式。前楽章とは対照的に、穏やかで憧憬に満ちた旋律をピアノとヴァイオリンが交互に奏でていく。
第3楽章 ロンド・アレグロ・モルト
 活気に溢れたロンド楽章。鮮やかなコーダで幕を閉じる。

ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第6番 イ長調 作品30-1
Beethoven:Sonate fur Klavier und Violine Nr.6 A-dur Op.30-1
 第6番イ長調を含む作品30の3つのヴァイオリン・ソナタは、有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれる直前の、1801年から1802年春にかけて作曲された。この時期ベートーヴェンは、耳の疾病に苦しみ精神的危機を迎えていたが、作品全体は明るく幸福な雰囲気に満ちている。第6番では、ヴァイオリンはピアノの助奏的役割から脱却し、独奏性が一段と高められている。
第1楽章 アレグロ ソナタ形式。モーツアルト的軽快さを持った明るくユーモラスな楽章。
第2楽章 アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ 3部形式。2重奏の様を呈した美しく核心的楽章。
第3楽章 アレグレット・コン・ヴァリアツィオーニ 変奏形式。両楽器が呼応しながら冒頭の主題が6通りに変奏される。


ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第3番 ニ短調 作品108
Brahms:Sonate fur Pianoforte und Violine Nr.3 d-moll Op.108
ブラームス(1833-1897)は、1886年から1888年までの間、夏の休暇をスイスのトゥーン湖畔の避暑地で過ごし創作活動に専心した。1888年に完成したソナタ第3番を含む晩年の傑作の多くは、この土地で作曲されている。第3番は、前2作とは異なり、4楽章で構成され、両楽器の劇的な対立が際立つ。1887年から相次いで襲った友人の不幸を映し出すかのように、作品は内的叙情性を示し短調で書かれている。なお作品は、ピアニスト兼指揮者の友人ハンス・フォン・ビューローに献呈された。
第1楽章 アレグロ ソナタ形式。悠然とした叙情性と深い力強さを併せ持つ表情豊な楽章。
第2楽章 アダージョ G線のみで奏でられる美しい旋律で開始される。
第3楽章 ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント
 3部形式。重々しい憂愁さに満ちている。
第4楽章 プレスト・アジタート ロンド・ソナタ形式。コラール風の第2主題を挟み、力強く情熱的に曲を閉じる。

牧野 縝 MAKINO, Saori (piano)
ピアノを笈田光吉、M・エッガー、金澤希伊子、安川加壽子の各教授に師事。東京芸術大学卒業。1972年ドイツに渡り、ハンブルクの国立音楽大学にてC.ハンゼン教授のクラスで研鑽を積む。同大学卒業後更に演奏家試験課程を修了し、ソリストとして又室内楽奏者としての多くの演奏活動を行う。この間、イタリア・セレーニョのポッツォーリ国際ピアノコンクールに入賞、フランス・コルマールでは国際室内楽コンクールで一位入賞を果たす。また、パリのV・ペルルミュテール教授にも薫陶を受ける。1983年からは東京芸術大学講師、洗足学園大学教授を歴任、現在は愛知県立芸術大学教授、洗足学園大学非常勤講師。

福本 泰之 FUKUMOTO, Yasuyuki(violin)
 島根大学教育学部特音課程卒業。愛知県立芸術大学大学院修了後、直ちに同大学音楽学部の専任助手となり母校にて後進の指導にあたる。1994年海外研修にて渡欧、ウィーン国立音楽大学のM.フリッシェンシュラーガー教授のもとで研鑽を積んだ。これまでに名古屋を拠点にリサイタルやオーケストラとの協奏曲共演のほか室内楽を中心に演奏活動を行う。現在、愛知県立芸術大学音楽学部准教授。「ザ・ストリングス名古屋」メンバー。名古屋(二期会)オペラ管弦楽団コンサートマスター。「J.S.バッハ・ムジークカペレ」メンバー。