1994年4月24日

(左より)高田・小島

演奏者プロフィール
高田 あすみ(バロック・ヴァイオリン)
桐朋学園大学弦楽器科卒業 ヴァイオリンを海野義雄氏他に師事
1983年 第2回 日本国際音楽コンクール第4位1985年 第41回 ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位受賞
現在、「バッハ・コレギウム・ジャパン」のコンサートマスター、主要オリジナル楽器グループの中心的存在として活躍中である.

小島 芳子(チェンバロ)
桐朋学園大学ピアノ料卒業 ピアノを小川京子氏他に師事
チェンバロと室内楽を鍋島元子氏他に師事
1985年 オランタのデン・ハーグ音楽院でフォルテピアノをS.ホッホランド氏に師事
1986年 ブリュージュの第2回国際モーツァルトフォルテピアノコンクール第2位.海外の音楽祭にソリストとして招聘されるなど 国際的に活躍中である。
  

<ヴァイオリンチエンバロの為の6つのソナタについて>

作品解説
 6という数字は、西洋においては1ダースの半分という意味もあつて大変よく使われます.バッハは他にも無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」、「無伴奏チェロ租曲」、チェンバロのためのイギリス 組曲」「フランス組曲」、「パルティータ」なとを書きましたが、どれも6曲から成る曲集となつています.他の作曲家、例えばモーツァルトにも6曲セットというのはよくあります.近代では、ドビュッシーも(完成はしませんでしたが)やはリ6曲の様様な楽器の組み合わせによるソナタを計画していました.バッハの「ヴァイオリンチェンバロのための6つのソナタ」は、調性の並べ方がとても興味深いのて、次に少しふれてみたいと思います.
 ます第1番はロ短調というわりと珍しい調性で始まり、第2番はイ長調、第3番はホ長調と、シャープがひとつすつ増えて繁盛がたかまつていきます。第4番は一転してフラット系のハ短調になり、次の第5番は、フラットが4つという非常に暗く苦しい響きのへ短調へと尊かれます.そして最後にパッと目の前が開けるように明るく開放的な第6番卜長調で幕を閉じるというわけです。
これは、実際にこの順序で全曲を演奏すべきという意味ではありませんが、6曲全体を見たとき、いかにもひとつのストーリのような起承転結のあるバランスのとれた配列に思えます。
 さて、この「ヴァイオリンとチ工ンバロのための6つのソナタ」を一曲ずつ見ていくと、それぞれの楽章がじつに様々なスタイルで書かれていることに気づかされます.ヴァイオリンがメロディーを歌い、チエンバロが伴奏する形があれば、ウァイオリンとチェンバロの右手の対話を、バス(チェンバロの左手)が淡々とささえている楽章、また、三声部がまつたく対等に絡み合ってフーガを形づくる楽章もたくさんあります.たつた2つの楽器で演奏されるにも拘らす、その中からいろいろな楽器のイメージが聴こえてきます.チェンバロがリユートになったり、オルガンになったり‥・.またオーケストラにもなります.第6番の第1楽章など、まさにヴァイオリンとチェンバロ2人だけのコンチェルトてす.トゥッティとソロの対比が見事に書き分けられて、華やかな勤果を生み出しています.
 このように6つの個性をもつたソナタ、しかもそれぞれがとても充実した作品ですので、それを一日で演奏するというのは私達にとつてかなりの冒険てすが、それだけにやりがいがあります.お楽しみいただけたら幸せです。
                               

   (高田、小島)



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