1996年2月4日
安彦・長谷部
Program
1 G.F.ヘンデル ー ハルフオーゼン :パッサカリア
2J.S.バッハ:無伴奏チェロのための組曲第1番 卜長調 BWVlOO
l Prelude
U Allemande
V Courante
W Sarabande
V Menuet
Y Gigue
 
  3 E.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 op.27−2
T Obsession:Prelude,Poco vivace
U Malinconia:Poco Lento
V Danse des Ombres:Sarabande(lento)
W Les Furies:Allegro Fudoso

4 A.オネゲル:ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ H.80
T Allegro
U Andante
V Allegro

G.F.ヘンデル ー ノ1ルフオー・ビン ニパッサカリア
  ヘンデルのクラヴサン組曲第1集が1720年にロンドンで出版され、8つの組曲がおさめられていた。今日演奏するのは、この中の第7曲からパッサカリアをJ.ハルフオーゼン(1S糾−1933)がヴァイオリンとチェロの二重奏のために箱曲したもので、パッサカリアとはバロック音楽の一形式、変奏曲である。ただ、篇曲とはいっても、特に変奏の後半部分では、かなり自由な創作がなされている。

 J.S.バッハ:無伴奏チェロの為の組曲第1番 ト長調 BWV1007
 バッハのケーテン時代、すなわち1717年(32才)から6年の間に作曲きれたこの有名な組曲については、語りつくされている面があるが、雑誌「ユリイカ」1996年1月号にチェロ奏者A.ビルスマの興味深いインタビュー記事が掲載されたので引用させて頂く。
 「バッハのチェロ組曲でわたしが素晴らしいと思うのは、これが限られた少ない音で書かれた偉大な音楽作品だ、ということです。  バッハの組曲を聴衆の前で演奏することは「コミュニテイ・リスニングJのようなものなのです。聴衆が聴き、チェリストも聴き、チェロから出る音がホールの響きの中で形になるのです。
 もしチェリストが過ちを犯すことがあるとすれば、それは弾き過ぎる」ことです。「は自分のチェロを弾くんだ。そう、弾くんだ!」それは間違いです。自分の演奏を中心に考えるべきではなく、聴衆と一緒に音楽が発展していくのを聴くべさなのです。」

 F.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番イ短調 Op.27-2
 ウジエーヌ・イザイは1SS8年に生まれ、1931年にこの世を去ったベルギーの大ヴァイオリニスト、作曲家としても多数曲を残している。 この無伴奏ヴァイオリン・ソナタは仝6曲からなり、この6曲を作曲したのはシゲティの奏くバッハの無伴奏ソナタの表現力豊かな演奏と、バッハの作品の霊感の豊富な作占に深い感銘を受け、バッハの無伴奏ソナタとパルティータに匹敵する無伴奏作品を作曲しようと思いたったからである。後にイザイはバッハの天才と偉大さから決別するのは難しいことに気づき、そのことに脅きれているような気さえしたという。
 この第2番のソナタは当時の大ヴァイオリニストで親友の一人のジャック・ティポーに捧げられた。第1楽章は(強迫観念)という題がついており、バッハの無伴奏パルプイータ第3番の前奏曲の主題をユーモアも含め大胆に織り込んでいる。第2楽章は<憂鬱>という題で最後に聖歌「怒りの日」の旋律を奏する。第3楽章はく亡霊たちの踊り)と題され、再び「怒りの日」の旋律を変奏曲にして登場させる。第4楽章は(フュリ)という題で、ローマ神話の中の復讐をつかさどる3人の女神たちのこと。重音奏法を用いた情熱的な楽章である。

  A.オネゲルニプアイオリンとチェロのえめのソナチネH.80
1917年の春、フランスでは6人の若い者楽家が革新的なフランス音楽を剣道しようと集まり、パリで発表会を開いた。
 彼らははフランス音楽の「アンファンテリープル」(恐るべき子供等)」そして「6人組」とよばれ、印象主義に反抗し「簡素に還れ」と叫んで、ピアノ曲「ジムノペティー」で有名なサティーを先導者と仰いだ。
 その第一人者だったオネゲルが1932年に書いたこの曲は作曲上難しいとされるバイオリンとチェロのための曲としては、ラヴェルやコダーイのソナタと並んで最も完成されたもののひとつである。
 第1楽章はユニゾン(同音)で始まり、その主選は楽章最後にも現れる。3つの主題を被独特の逆繰り返しを用い、活気に満ちた村位法によって発展させている。第2楽章は穏やかなアンダンテとフーガ形式のスケルツオが交互に現れる。第3楽章は激しいながらもユーモラスな主寛が2つの楽器の短い応答で始まった後、グランド・オペラの誇大なスタイルを風刺したカデンツアをレチタティーヴォのように歌いあげ、最後に2つの楽器が激しくぶつかり合いながら曲は幕を閉じる。


演奏者プロフィール
    安彦千恵:ヴァイオリン
 4才より名古屋でヴァイオリンを始める。東京芸術大学音楽学部卒業。‘91年第5回ザルツブルグ国際モーツァルトコンクールにてフェリックス・ウンガー箕受賞。第60回日本音楽コンクール第2位。黒柳賞受賞。第60回ヴイエニアフスキー国際コンクール第2位。あわせてバッハ最優秀演奏者賞、モーツァルト最優秀演奏者賞などの6つの副賞を受賞。’93年安宅賞受賞。ユリザベート王妃国際音楽コンクールに第6位入賞。’94年岩城宏之指揮、オーケストラ・アンサンブル金沢と協演。またユリザベート王妃国際コンクール入賞時のライブCDが発売きれ、スケールの大きな資質が注目を集めている。
 これまで景山誠治、アーロン・クロズニック、清水高師の各氏に師事。


    長谷部 一郎:チェロ
 4才から才能教育にてチェロを始める。桐朋学園音楽学部ソリスト・ディプロマコース修了。名古屋大学経済学部卒業。‘93年多産フレッシュ音楽コンクール’93 弦楽部門第1位。宝塚ペガ音楽コンクール弦楽器部門第う位。第62回目本音楽コンクールチェロ部門 第3位。‘94年ながの・アスペン・ミュージックフェスティバルから奨学金を得て、アメリカコロラド州アスペン・ミュージックフェスティバルに参加。
‘9S年10月日本音楽コンクールチェロ部門第1位。あわせて松下箕を受賞。これまでチェロを倉田澄子、中島顕、室内楽を堤剛、山崎伸子の各氏に師事。

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